VIデザイン テロップ ロジック 動画の基本

【動画講座】テロップに枠線をつける意味とは?

はじめに

テロップデザイナーとして約5年間活動してきた立場から
テロップの枠線について考えてみたいと思います
テロップの、しかも枠線のみのお話ということで
とてもコアで今のうちは需要がまだないかもしれません

しかし
個人クリエイターが活躍する時代がより活発になった時
多くの人がテロップについて考えると思い、発信します
テロップについて考えを深めておくと動画のクオリティは確実に上がります

eyecatch-テロップデザインまとめ
【参考事例でみる】テロップデザインまとめ【テレビ風文字加工】

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テロップの枠線を知る

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テロップってそもそも何?という人もいるかと思います
なので、まずテロップについて知ってもらいましょう

そもそもテロップってどういう意味?

「テロップ」で検索してみると、

《television opaque projectorの略》テレビ画面に、テレビカメラを通さずに文字・図形・写真などを写し出すための送信装置。また、その文字や図形など。

という意味があります
要するにモニター上に表示されるデジタルな文字をテロップと呼ぶようです

ここでは少し範囲を広げ、「各媒体の文字加工した文字情報」という意味も追加しておきます

今回はそのテロップの中でも枠線を追加したものについてお話します

日常に溢れる枠線加工

さて、日常にはどういった枠線加工が潜んでいるでしょうか
まず挙げられるのが「テレビ番組のテロップ」です

よく見る加工はこんな感じのテロップ

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枠線と文字色に差があり可読性が高く読みやすいですね

次に紹介したいのが「スポーツ新聞のテロップ」です
(厳密にはモニター上ではないのでテロップとは呼ばないですが)
スポーツ新聞といったらこの文字加工です

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文字ひとつひとつの領域が広く特徴的で目につく文字加工ですね

枠線が持つ能力”強調”

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枠線をなぜ付けるのか
それは「文字を読ませたい」という思いが作り手にはあります

では、文字を読ませるためになぜ「枠線」が必要になったのでしょう
(この部分を理解しておくとテロップ作りの際に役立ちます)

その理由は文字と背景との関係です
とても簡単なことですが、映像は絶えず動くものでその背景にどんな色が来るかほぼ想定できません(場合によってはある程度想定できます)

白い文字を白い背景に乗せたら読むことは不可能
グレーの文字でさえ白い背景に乗せたら可読性は落ちます

そんな不確定な状況下で読ませたい場合はどうしたらいいのか
その際に導き出した答えが「枠線」の追加になります

枠線を追加することで
文字の周囲に絶対的な不可侵領域を作ることができます

それにより
不確定な背景を文字の周囲という限定的な範囲だけ確定な背景色に変えることができるのです

これが枠線ができた理由だと考えます

ちょっと小話
背景色をある程度想定できる場合もあります 例えば、暗がりの映像の場合、画面全体の明度は低いため明度の高い文字を使えば枠線の加工が必要ない場合があります 他にも環境下に応じて画面上部は空しか映らないや室内固定で撮るため背景が変わらないなど様々あります

可読性のための枠線

枠線には2つの要素があります
その1つ目が「可読性としての枠線
先ほども述べたように
文字を読みやすくするために枠線を付けるという部分がこの可読性に当たります

読んでもらうために入れているテロップなのに読みにくいと視聴者にとってはストレスです

ストレスがある番組は観たくありません
多くの視聴者に見てもらうためには、そのストレスを極力無くし可読性が高いテロップにする必要があります

またテロップを入れる際
「このテロップは読ませたいのか、その重要度はどのくらいか」を考えると
テロップごとの優先順位ができ、どの程度の枠線加工度をすればいいかが明確になります

装飾性のための枠線

可読性を上げるために誕生した枠線は、新しいアプローチがされます
それが、装飾性を伴った枠線です
スポーツ新聞の文字は文字を読んでもらうために強調に強調を重ねました
それは駅の売店で他の新聞よりも目立つ文字にする文化が影響しているでしょう
その結果、誘目性の高い赤色は必ず使われ、立体感で存在を強調し、枠線も二重につけるという強調を重ねに重ねた「強調の権化」のような加工がされています

その強調の権化とも入れるスポーツ新聞文字は業界に浸透し様式化されます
すべてのスポーツ新聞が同じ強調をすることで一種の様式美になりました
スポーツ新聞文字はこの時、強調という機能から抜け出し装飾性を持ったのです

読ませる可読性とは別に、その文字に新しい印象(スポーツ新聞らしさ)を追加するという装飾的役割を枠線加工は与えてくれます

テロップをより印象的に、文字の意味を増すにはどういう枠線が効果的かを考えると伝えたいメッセージの精度を上げることができます

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ちょっと小話
強調の機能が有効に働くためには、その強調部分の割合は20%程度がベストであるという話があります。 つまり、売店のスポーツ新聞棚全体で考えると強調文字率100%のため、強調の機能がなされていないという現状です(スポーツ新聞棚の他の新聞という視点だと強調機能は存在している)

美しい枠線とは

YOUTUBEでクリエイターさんの動画を拝見していると
テロップ加工に対してもう少し美しさという観点で見てほしいと思う場面が多々あります

例えば、こんな加工を個人的にはこうしたいです

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枠線加工には美しさが伴います
雑味が抜けた美しい加工はメッセージをそのままもしくは、それ以上の印象で文字の意味を伝えます(雑味があると文字の印象が霞んでしまいます)

枠線を強調しない美しさ

強調のための枠線の役割は「文字の可読性をあげる」ということです
そこには文字が読みやすければ枠線の存在は限りなく0に近づいた方がいいという考えができます

文字に対して最小限のアプローチで可読性をあげる方法を考えると
こんな感じになります

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これが枠線を強調しない美しさです

枠線を強調する美しさ

逆に枠線を強調することの美しさがあります
それは先ほどお伝えした装飾性を伴う際です
枠線に存在感を出すために立体感を追加するような加工では
枠線の存在を伝えなければなりません

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最後に

いかがだったでしょうか
枠線に対する意識が少しは変わりましたか?
この意識をもつことで、見やすさわかりやすさが変わってきます
動画のクオリティを考える際テロップをただ入れればいいという部分から
どう効果的に入れるかという意識を持ちましょう
そうすれば動画クオリティは確実に上がります

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テロップ全体の大枠を知りたい方はこちらの記事を見るとより理解が深まりテロップつくりが楽になります!

動画全体への理解を深めることで動画のクオリティが上がります

プロフィール

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[ hu: ] /ふぅ
フリーランスのモーショングラフィッカーとして3年目。
テレビ局で番組デザインを5年担当した経験をもとに、プロの立場から動画の基礎を発信する
Twitterで動画ノウハウや小技テクニックなどの有益情報を発信中!

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